MENU

日産流!「前向き思考でうつを防ぐ」実際はできなかった理由

目次

前向き思考でうつを防ぐ事は出来るのでしょうか?

よく前向き思考、ポジティブシンキングなどの言葉を聞くことがあります。

「悩み事の9割は起きない」などの書籍が販売されておりますが、

確かに普段「もしこうだったらどうしよう」と不安を抱えますが、結局はそのような悪い事は起きず

「心配して損した」って事は多くないでしょうか?

 

うつ病も心配性の方がなりやすいと言われています。

そのうつの治療方法として認知療法が効果的だと言われています。

認知療法とはその人の根本的な考え方を変えることにより、日常のストレスに対して強くなろうというものです。

 

この人は何でこんなに前向きなんだろう?

私が過去に一緒に仕事をさせていただきた、尊敬する元日産自動車の課長さんのお話をしたいと思います。

郷ひろみのようにキラキラと輝き、かっこいいので郷さん(仮名)と呼ぶことにします。

 

 

私も憧れの日産自動車に入社したかったのですが、私の頭では無理な話で

郷さんのように入社できた人は、「人生の勝ち組だ」と思いとても羨ましく思いました。

しかも郷さんは若くして課長になり、頭は良く、人間的にも素晴らしく、なおかつ体力もあるといった

とても素晴らしい方でした。

 

ここまでくると妬みなんて1ミリもなく、純粋に郷さんのようになりたい、ちょっとでも近づきたいと

思ったもんです。

 

当時私は自動車用部品の設計を行うエンジニアとして郷さんと一緒に仕事をさせていただきました。

自動車用部品はとても高い品質を求められます。

 

パソコンやスマホは、ちょっと動作がおかしい時や、完全に操作できないフリーズ状態になれば、

電源OFF/ONで復帰すれば良いレベルで設計されています。

一方自動車用部品はいかなる時も確実な動作を求められます。

例えばエアコンのボタン一つとっても、一時的に効かないだけで大問題になります。

「エンジンOFF/ONすれば復帰するからいいじゃないか!」と思うかもしれませんが、

 

北米の寒い地域で、エンジンをかけたまま車中泊している人が、暖房操作ができずに

凍死するような事を防ぐ意味もあるようです。

 

なので、ボタン操作ができなくなる不具合は許されず、高品質なレベルは求められ、

それでも万が一、万が一操作できない場合は、自動的に適温になるように自動運転されるといった

フェールセーフ(誤操作、故障時においても、常に安定して動作する事)機能があるのですから

とても驚いたものです。

 

ドキドキしながら仕事してる?

そんな高品質な設計を要求されるのですから、設計中も、テストが終了し、無事納品した後も

「不具合が出ませんように」と毎日祈りドキドキする毎日でした。

 

ある日運悪く、不具合が発生してしまいました。

1週間連続操作すると、操作できなくなる不具合が発生したのです。

一旦エンジンをオフしてオンにすると不具合は消えるそうです。

 

「いやいや、1週間連続してエンジンを切らないドライバーなんていないし、

そもそも2、3日もすれば最初にガス欠になってエンジンオフになるだろう!」

なんてロジックは通用するわけもなく、その日から不具合解析に入ることになりました。

 

一度不具合が発見されると、早期解決を求められます。

特に今回のような不具合は死亡事故にも関連する不具合なので、毎日午前様は当たり前、

時には徹夜となるわけです。

 

なかなか解決しない不具合は体力的にも、精神的にもダメージがあります。

毎日「いつ解決するんだ」、「まだなのか」と罵声を浴びながら、

そして睡眠不足で目をこすりながら解析する作業にはほんと疲れてしまいます。

 

そんな時、郷さんはいつも笑顔を絶やさず、夜中の1時を過ぎても、「よし、この試験をもう一度やってみましょうか」

とか、夜中の2時を過ぎても「はい、この後レビューしましょうか」なんて、キラキラした目で話します。

死んだ目をした私には信じられませんでした。

 

「これ解決する気がしないんですけど」と弱音を吐く私に対し、「解決しなかった不具合はない。終わらなかったプロジェクトはないのです!」と明るく励ます郷さん。

 

私「郷さん、なんで毎日明るく、前向きなんですか?」

郷さん「実は私は最初は不具合に直面すると、暗い気持ちになり、やってられない気持ちでした。ただ、そうは言ってても不具合が出ない日なんてないし、不具合0の日はこの先もないでしょう。なので、どうせそんな作業をするなら、徹底的に楽しもうと思ったのです。」

 

私「そうなんですか。。。。でも、そんな簡単に楽しめるのですか?

 

郷さん「不具合を謎解きのように考えるのです。サスペンスのように誰が犯人(不具合)なのか?

そして私は犯人(不具合)を捕まえる刑事になりきるのです。そして徹底的にワクワクするのですよ。」

 

ストレスを楽しみに変える

郷さんは、普通の人はストレスに感じることを、強引に楽しみに変えていたので

いつもキラキラ輝いていたんだと思います。

 

いつも午前様、残業時間は200時間を超えていた状況ですので、一流企業とはいえ残業時間だけで見ると完全なブラック企業ですよね。

それでも過労死する人も無く作業ができたのは、郷さんのように人間的に良い人に恵まれたからだったと思います。

 

睡眠不足からうつ病が発生すると言われていますが、うつにもならず、健康に過ごせたのは

前向きに作業を行い、ストレスを楽しみに変えれたからだと思います。

 

その後、私は少しでも郷さんに近づくべく、前向きに仕事をするようになりました。

郷さんとずっと一緒に仕事をして、いろいろ学びたかったのですが、私は別案件のため

他の会社に常駐し設計することになりました。

 

 

郷さんうつになったってよ

それから10年経ちますが、とうとう郷さんがうつになってしまったようです。

とてもショックでした。

あれだけ尊敬し、いつもキラキラしている郷さんだと思ったのですが、人には限界があるものを感じました。

 

郷さんは、日産から子会社に転籍になったようです。

日産自動車では、子会社や関連会社に転籍なる人が多く、最後まで本社勤務できるのはごくごくわずかのようです。

そんな優秀な郷さんでさえ子会社への転籍担ったようです。

 

郷さんはできる方なので、不具合解決能力が高いため、いろいろな部署から引っ張りだこだったそうです。

しかも人一倍優しいので、自分の部署の仕事以外でも助けてあげていたそうです。

 

なんとそのタフで優秀な郷さんがうつ病になってしまいました。

理由は、連日の不具合調査による睡眠不足からくる過労でした。

でも昔はそのような状況でも元気だったのに、なぜ今回うつ病になったのでしょうか?

 

以前と違うのは、もう50代となり、昔より体力が落ちたことと、

お客がかなりの曲者で、ネチネチ文うつ句を言われたため、その気苦労も重なりうつ病が発症したそうです。

 

 

 

まとめ

仕事は同じ作業、難易度だったとしても、その他のコンディションにより

うつ病は発生します。

私だけはうつ病にならないと思っている人も、悪いコンディションが重なり、

うつ病になってしまう危険性もあります。

我慢せずに早めにその状況から脱出することが大切なのではないでしょうか。

 

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

40後半のサラリーマンです。
ソフトウェアエンジニアの仕事で100時間続きで倒れて入院。
知人に「残業時間が無い」と誘われ転職したが、まさかの激務で2度目の入院。
健康と自由な時間に憧れ、独立を目指してます。

コメント

コメントする

目次
閉じる